がん温熱療法の第一人者 故・菅原努先輩を悼む

がん温熱療法の第一人者 故・菅原努先輩を悼む
京都大学名誉教授・六稜51期OB


先月1日、菅原努氏(すがはら・つとむ=京都大名誉教授、放射線基礎医学、京都大医学部長や国立京都病院長などを歴任)が、慢性腎不全のため死去されました。89歳。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

温熱療法はなぜ効くか
悪い細胞のみ撃退できる

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財団法人体質研究会理事長・京都大学名誉教授 菅原 努 氏

 がんの治療法といえば、外科手術、放射線療法、化学療法や免疫療法などがよく知られています。それに比べてハイパーサーミアは、まだ一般に普及しているとはいえません。しかし、決定的な治療法のないがんに対処する一つの有効な選択肢であることは、多くのデータが示しています。

 温熱療法の原理を理解するために、例えばお風呂に入った場合を考えてみましょう。43度くらいになると、もう皮膚が真っ赤になります。皮膚には網の目のように毛細血管が走っています。熱が加われば血管は拡張することによって血流を増やし、熱を運び去ってそれ以上皮膚の温度が上がらないようになっています。

 一方、がん腫瘍のほうは温度が上がっても、血管を拡張して血流を増やすことができません。しかも酸性になっているから熱に弱いという性質があります。がん細胞は43度くらいの熱を加えると死んでいきます。私たちが43度のお風呂に入ってもやけどをしないのは、細胞同士がちゃんと助け合っているからです。ところが、がん細胞は全然助け合いません。これはがん細胞が独立して体中あちこちに飛んでいくためには好都合で、だから転移が起こって怖いわけです。

 このように上手に熱を加えて処理してやると、がん細胞だけが死んでいきます。これは正常細胞もやられてしまう従来のがん治療から考えると理想的なことです。

 しかし難点もあり、体の中にある腫瘍を加熱することが難しかったのです。これは高周波の使い方の技術的な問題です。同じ高周波でも下手に使うと体の中はぬくもらないが、うまく使うと深くまでぬくもります。電極を上手に加減すると、いろんな部分をぬくめることが可能です。臨床の経験を踏まえた結果、いま世界で一番普及している装置ができました。


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